都市觸覺 Part I City Rhythm  

  

  

オリジナル発売日: 1988.12.15

 

    11.以降は「都市觸覺 I  Take Two」収録内容です。また恐らく9.は誤って15.と同じ音源になっています。

 

 

80年代の都会に生きる女性は、自立していながら脆さも抱え、意志は強く、それでいて女性らしく、理性的でありながらとても感情豊かでもある。

City Rhythm』は、そんな現代女性の特別な気質を描き出すために、彼女の複雑な感情、孤独から逃れる方法、恋の甘さと苦さ、そして感情との絶え間ない葛藤を探っていく。

 

このアルバムの音楽と歌詞は、現代的で繊細でありながら、彼女という存在が放つ独特で力強いエネルギーを捉えている。

そのエネルギーは、色彩、音、感覚のすべてを巻き込み、ひとつのビート、ひとつのグルーヴとなって脈打つ

──それが“City Rhythm”と呼ばれるもの。

 

彼女は愛し、笑い、泣き、それでも前へ進む。

ときに、愛が耐えがたいほど重く感じられると、彼女は自分だけの空間へと退き、音楽や芸術の中に逃げ込み、調和とバランスを求める。だが、それが完全に叶うことはない。

それでもやがて、都市のエネルギーが再び彼女を引き上げ、前へと押し出す。

新しい一日は、昨日と同じ活力とともに始まる。City Rhythm はかつてないほど強く響いている。

 

人々はスピードと方向性、そして確固たる意志を持って動き、

その一人ひとりの顔には個性があり、そこに存在する理由がある。

街角ですれ違うカジュアルな微笑み、角を曲がった先のフレンドリーな笑み、そして決してカジュアルでもフレンドリーでもないパワーランチまで──

都市での出会いはすべてが経験となり、心と感覚を刺激する。

 

音楽は、忙しい都市が自然に生み出すさまざまな音と混ざり合い、

ロック、ジャズ、クラシックに、車の走行音、サイレン、怒れる歩行者の声といったテクスチャーが重なり、独特の融合を生み出す。

それらすべてが、都市生活を少しだけ面白くし、City Rhythm をよりいっそう生き生きとさせるのだ。

(ライナーより 当サイトで意訳)

 

 

【収録曲】

 

曲名

作詞

作曲

編曲

カヴァー元

1.

三更夜半

周禮茂

倫永亮

倫永亮

2.

雷電風雨夜

林振強

Chico Bennett

陳明道

Taja Sevelle Infatuation 

3.

夜了…沒有藉口

卡龍

Don Powell,

Rick Kelly, Linda Mallah

倫永亮

The Jets Make It Real 

4.

還有…    (w/ 王傑)

潘源良

李宗盛

倫永亮

李宗盛 & 鄭怡 「結束」 

5.

又見朝陽

潘源良

杏里, 吉元由美

Richard Yuen

杏里 「愛してるなんてとても言えない」 

6.

一接觸

林振強

Michael Jay

杜自持

Eighth Wonder Cross My Heart 

7.

你是我的男人

林振強

Evert Verhees,

Patricia Maessen

Alexander

De La Cruz

Viktor Lazlo You Are My Man 

8.

周禮茂

Billy Livesey,

Pete Sinfield

Richard Yuen

Agnetha Faltskog Love In a World Gone Mad 

9.

講多錯多

周禮茂

Alexandra Forbes,

Jeff Franzel

杜自持

Taylor Dayne Don't Rush Me 

10.

因你瘋了

周禮茂

張洪量

倫永亮

張洪量 「我想我瘋了」 

 

 

曲名

曲名ピンイン

曲名カタカナ読み

曲名和訳

英語曲名

1.

三更夜半

saam1 gaang1 je6 bun3

サーム ガーン イェ ブン

夜半過ぎ

3 A.M.

2.

雷電風雨夜

leoi4 din6 fung1 jyu5 je6

ルイ ディン フォン ユー イェ

雷風雨の夜

Stormy Night

3.

夜了…沒有藉口

je6 liu5mou4 jau5 zek3 hau2

イェ リウ… モウ ヤウ ゼッ ハウ

夜が来た…もう言い訳できない

It's Late ...No More Excuses

4.

還有…

waan4 jau5

ワーン ヤウ…

そして…

What's Left Behind

5.

又見朝陽

jau6 gin3 ciu4 joeng4

ヤウ ギン チウ ヨン

陽はまた昇る

Another Morning

6.

一接觸

jat1 zip3 cuk1

ヤッ ジップ チョッ

触れるだけで

Once We Touched

7.

你是我的男人

nei5 si6 ngo5 dik1 naam4 jan4

ネイ シー ンゴ ディッ ナーム ヤン

マイマン

You Are My Man

8.

tau1 haan4

タウ ハーン

ひとときの休息

In The City

9.

講多錯多

gong2 do1 co3 do1

ゴン ドー チョー ドー

話せば話すほど

Shut Up

10.

因你瘋了

jan1 nei5 fung1 liu5

ヤン ネイ フォン リウ

あなたに夢中

Crazy Because Of You

  

 

【リリース情報】

 

LP (香港盤)

2292 56180-1 1988.12.15 WEA  

 

CD (香港盤)

2292 56180-2 1988.12.15 WEA  

 

CT (香港盤)

2292 56180-4 1988.12.15 WEA  

  

CD (香港盤)

2292 56180-9 1999 Warner Music Hong Kong 

HDCD, 「華納暢銷經典」シリーズ

 

CD (香港盤)

2292 56180-5 2002 Warner Music Hong Kong 

DSD CD

 

CD (香港盤)

5051865-4557-2-1 2009 Warner Music Hong Kong

LPCD 1630シリーズ, LPCD Mastering Engineer: AIK Yew-goh, Mastering and Manufactured by HUGO productions (HK) Ltd.

 

LP (香港盤)

5053105-2559-1-7 2012 Warner Music Hong Kong

LPCDM2 Mastering, Made in the EU 

 

CD (香港盤)

50531 05-8557-2-8 2013 Warner Music Hong Kong 

Made in the EU

  

CD (香港盤・2枚組)

50541 96153022 2014.6.17 Warner Music Hong Kong 

本作 + 「都市觸覺 I  Take Two」の2枚組、1,000枚限定、Made in Japan

 

SACD/CD (香港盤)

5054 1973 16265 2016.10.27 Warner Music Hong Kong 

Made in Japan

 

SACD (香港盤, 5枚組)

5054 1970 12815 2018.8 Warner Music Hong Kong 

500セット限定、5枚組ボックス「Sandy Lam SACD The Collection 1988-1991 BOXSET」の中の1枚。

Made in Japan、限量產品證書入り

 

LP (香港盤)

5021732773876 2025.10.15 Warner Music Hong Kong

1,000枚限定, クリアヴァイナル, Made in the EU, リマスタリング 

  

配信

本作 + 「都市觸覺 I  Take Two」が一緒になった「Deluxe Version」としてApple MusicAmazon Musicなどで配信

ただし、「講多錯多」は本作に収録の物も「都市觸覺 I  Take Two」収録の物が使われており、オリジナルバージョンは配信されていない

 

 

 

【クレジット】

 

PRODUCERS ■ 倫永亮/林憶蓮

CREATIVE GROUP ■ 倫永亮/許願/林憶蓮

 

Synthesizers: 倫永亮 (1, 3, 4)、陳明道 (2)Richard Yuen (5, 7)、杜自持 (6, 8)Alexander De La Cruz (10)

Guitars: 蘇コ華 (1, 2, 4, 8)Jose Villaneava (1, 2, 3, 6, 7)Peter Ng (5)Guillermo Fuego Jr (10)

Bass: (10)

Flugelhorn: Bert (4)

Grand Piano Accompanied By: Mr Anthony Lun (9)

Synth. Programming: 梁偉基 (1)、陳澤忠 (3)、倫永亮 (4)

Drum Machine Programming: 倫永亮 (1, 3, 4, 8)、陳明道 (2)Richard Yuen (5, 7)、杜自持 (6, 8)Alexander De La Cruz (10)

Background Vocals: 倫永亮 (1, 3, 6, 10)、林憶蓮 (1, 2, 3, 6, 7, 8, 10)、周小君 (3, 5, 6)

張偉文 (5)、譚錫禧 (5, 6)May (5)Nancy (6)

 

MIXING ENGINEERS David Ling Jr./倫永亮/林憶蓮

RECORDING ENGINEERS David Ling Jr.Philip Kwok

RECORDED & MIXED AT Studio S. & R.

IMAGE DIRECTION ■ 許願

PHOTOGRAPHY ■ 毛澤西

CONCEPT / ART DIRECTION ■ 許願

DESIGN/ART DIRECTION Kinson Chan

GRAPHIC/PRODUCTION Vicky Ho/釘頭

TEXT on booklet ■ 許願/周礼茂/盧志偉

Artist Management: Metrostar Entertainment Ltd.

Special thanks to: Mr. Kim Robinson (Le Salon, H.K.), Miss Alice Kong (San Francisco), Mr. Sam Wong (New York), Miss Maria Perreira (New York), Mr. Seth Cooper (New York), Mr. Hernando Cortez (New York), Mr. Alfred Wong (H.K.), and Mr. Stephen Wong (H.K.).

Indoor photographs were taken at the artist's studio of Miss Eileen Smith, Soho, New York, with the artist's special permission 

 

 

【メモ】

 

·      6枚目のアルバム。華納唱片(ワーナー・ミュージック)への移籍後初となるアルバム。当時の香港ポップス界において非常に珍しい「City Project」という一貫したコンセプトを持つ三部作の幕開けとなった作品です。

·      City Rhythm」シリーズはPart3まであり、都市に生きる現代女性の感情の推移を描くという物語上の連続性があります。それぞれのコンセプトは、
Part I
:都市に暮らす女性の悲しさ、寂しさ、プレッシャーを描く
Part II
:都会の喧騒から逃れてリラックスし、自由を求める感じを描く
Part III
:世界各地を旅した後に、自立して明日に向かって生きていく姿を描く
コンセプトを立てたのはイメージ/アートディレクションも兼ねる許願(クラレンス・ホイ)氏。サンディは後年のインタビューで、「許願は、コンセプトを大切にする人です。彼の音楽のコンセプトは、全体の計画に基づいてイメージを作ることから始まります。だから彼と一緒にやっている時に“都市触覚”シリーズが生まれたのです。彼はもとも舞踏を勉強していた人で、舞台劇やミュージカルの経験が豊富でした。それで音楽を作る時でも、全体の大がかりな計画から考えていくんです。」と振り返っています(「POP ASIA 200210月号)。許氏によると仕事で東京に滞在していた際にラッシュアワーの混雑する東京の街並みを「冷めた傍観者」として眺めていた時、香港も同じように多忙な街であることに気づき、この都市をテーマにすることを思いついたそう
CRAZY FOR SANDY「許願回顧録」。意外にも大都市である香港の音楽には都市をテーマにしたものが珍しかったそう。

·      このシリーズの音楽面での特徴は低音重視のアップテンポなダンスナンバーを取り入れているところ。これが正に当時のシティ感を垣間見れるようで今聴いても非常にカッコイイ。彼女を一気にダンスナンバーの人にイメージづけたと思います。また、バラードはしっとりとはしていけれどこれまでのような湿っぽさを排したやはり洗練された感じに。大部分がカバーですが、音源は彼女の広東語の歌に合うように編曲録音されており、オリジナルのほうを聴くと「如何にも当時の」という感じがする曲もあるのですが、本作のカバーは今聴いても遜色ないクオリティで、まるで完全にサンディーのオリジナルであるかのような雰囲気を持っていると思います。彼女自身もこのコンセプトに見合うため、ジョギング、ダイエット、ダンス、歌のレッスンに猛烈に励んだそうです。

·      ジャケットやブックレットはニューヨークで撮影。歌詞に加え、コンセプトディレクターの許願、作詞家の周禮茂、音楽評論家の盧志偉らによる都市の様子とそこに生きる女性を表した散文が掲載されています。このブックレットは、単なる歌詞カードの枠を超え、本作のコンセプトを視覚的・文学的に定義する「マニフェスト」のような役割を果たしています。ちなみに許氏はこのジャケット撮影で訪れていたニューヨークから作詞家の林振強氏に電話をかけ、街の様子をレポートしながら詞を書いてもらったそうです()

·      売上は驚異の12万枚(日本の人口換算では250万枚以上、情報は94年「アサヒグラフ」より)。ラジオチャートでは「講多錯多」、王傑(デイブ・ワン)とのデュエットバラード「還有」がヒット。

 

管理人の感想

音楽は時代が生むものですし、時代が変われば作られなくなる音楽があるものですが、不思議とそういった時代の泥が洗い流されたような音楽があったりします。この「シティリズム」なんかはそんな作品の一つだと思います。打ち込みドラムで時代色があると言えばあるんですけど、隔たりある自分と関係ない過去というよりは、聴いたらすぐその時代に行けて終わったらまたすぐ帰って来るみたいな。このアルバム、2025年はめちゃめちゃ聴きましたし、物は集めないつもりですが、LPも気がついたら2枚あったりします(笑)。特に通勤の時聴きたくなるんですよね。20代、新しく移り住んだCITYをマウンテンバイクで通勤するような、そういう普遍的な良さがあるんですよね。そういう経験があるかどうかは全く別で、そういう憧れのような世界感がある。またマカオからフェリーで香港に戻るときに、あいにくの雨で、香港では雑多なところを気ままにうろうろ過ごしたいのですが、雨だと最悪なんですよね。ちょうど上環のビル群がワーッと見えたあたりで「夜了」が流れてきて、歌詞と違って昼間のグレーな風景だったのですが、どんよりした空にこの曲の「あーあ」という感じがぴったりで、やっぱこのアルバムには普遍的な良さがあるなと感じたのが印象的です。